<魚眼図>人間に挑戦
情報処理学会というコンピュータの専門家の組織が、日本将棋連盟というプロ棋士の組織に挑戦状をたたきつけた。将棋のプログラムが強くなったので、プロ棋 士に挑戦させてほしいという内容である。2005年からプロ棋士とコンピュータの対戦が原則として禁止されていたので、その禁止令を解いてもらう必要があ る。古来のしきたり?にのっとって和紙に筆で挑戦状を書いて、アカデミックガウンを着た学会の会長が、紋付き袴(はかま)の米長将棋連盟会長に手渡した。
挑戦状は無事に受け取ってもらい、清水市代女流王位が対戦相手に決まった。対局は今年の秋に行われる。コンピュータは、複数のプログラムの合議によって指 し手を決める方式を採用する予定である。コンピュータが勝てば来年には男性プロと対戦し、逆に負ければアマと対戦することになっている。
実は私 が仕掛け人。対戦を引き受けていただいた清水女流王位には申し訳ないが、われわれとしては、今回の対戦は絶対に勝たなくてはいけないと思っている。われわ れの最終目標は、あくまでトッププロ棋士(具体的には、たとえば羽生善治名人)に勝つこと。順調に勝ち続けて、早くトッププロ棋士に挑戦したい(もちろん それにも勝ちたい)。多くのプロ棋士や将棋ファンは羽生さんが負けるはずがないと信じているだろうが、われわれはもう時間の問題だと思っている。早ければ 数年以内にそのときは来るはずである。
将棋は日本の貴重な文化。コンピュータが人間を補助することで、「将棋の神」の領域に近づいていきたい。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2010/04/30


