イカ型ロボット「イカボ」で函館の観光復活を目指し(夕刊フジ)
函館といえば風光明媚でオシャレな港町だが、最近の函館は地方都市の例に漏れずシャッター商店街も出現し始めている。
そんな現状に悩む住人らの前に現れたのが、松原教授らが作ったイカロボット。「ただ、イカロボット人気で函館観光が復活へ!なんて、マンガみたいにはうまくいかないのが現実で・・・」と教授は苦笑いする。
イカロボットの正式名称は、函館観光用産業ロボット「IKABO(イカボ)」。2005年、新しい観光資源を渇望する市民有志が松原教授に相談。翌年、公立はこだて未来大学と函館高専の学生が中心となって製作した。
2体あるイカボは地域のお祭りで愛嬌を振りまく一方、ユーチューブなどの動画サイトでは函館タワーロボと戦闘を繰り広げるなど大活躍中だ。「イカボ出演の動画は、函館の魅力がよく分かる観光案内にもなっています。50万アクセスを達成するなど函館の認知度を上げることはできたのではないでしょうか」と、まずまずのイカボ人気に胸をなでおろしている。現在は新しいイカボも製作中だそうだ。
松原教授の専門は人工知能。15歳の時にフロイトに傾倒、人間のこころの仕組みに興味を持ったという。「医学系に進むか悩みましたが、結局『鉄腕アトム』を作るという夢を追いかけて東大工学部へ進みました。私にとって、人工知能を研究することは、逆説的にこころの仕組みを知ること。人工知能やロボット開発はどうしても先進技術ばかりが注目されますが、大切なことは他にもある。たとえば有史以来、人間はどんなことを悩み、どんなことを考えてきたのか。そうした哲学的課題を知ることも、研究者には非常に大切なことです」
はこだて未来大学の開校と同時に教授として赴任したのが2000年。身内からは「そろそろ東京に帰ってくれば」と言われているそうだが、「昔は研究所と家を往復するぐらいが関の山だったけど、いまは地域との距離がものすごく近い。函館にとって観光は非常に重要な産業ですから、自分たちの研究が少しでも観光の発展に貢献できたらうれしいです」と語る。その表情は、すっかり函館の人そのものだった。
(2009年8月13日夕刊フジ掲載記事)
