<魚眼図>悪いのはゲーム?
若い人が凶悪な罪を犯すと、その人がテレビゲームをやっていたことがあたかも犯罪の原因になっているかのような取り上げ方をされることが多い。特に暴力的なゲームが矢面に立たされている。政治家や評論家、あるいは医者や教育者にこのような傾向を煽っている人たちがいる。彼らはあたかも悪を叩く正義の味方のようである。
はたして悪いのは本当にゲームなのかを科学的につきとめようという研究が世界中で進められている。その内のひとつハーバード大学の医学部の研究成果が「ゲームと犯罪と子どもたち」という本として最近出版された。その結果を一言で言えば、決してゲームが悪いのではないというものである。子どもは13歳を対象としている。
暴力的なゲームに悪影響を受ける子どもは少しはいるものの、大多数は影響を受けていない(悪影響を受ける割合は「ちゃんばらごっこ」に影響を受けて暴力をふるう可能性と大差ない)。ほとんどの子どもは仮想世界と現実世界を混同していない。暴力的なゲームをした子どものほとんどはそれで怒りを発散して現実に暴力をふるわないですんでいる(むしろゲームがいい影響を及ぼしている)。
もちろんゲームに悪い点もある(オンラインゲームのやり過ぎの悲惨さを書いた「ネトゲ廃人」という本も出ている)。それは本、マンガ、映画、ラジオ、テレビなどに(いい点もあるものの)悪い点があるのと変わらない。本にいい読み方と悪い読み方があるようにゲームにもいいやり方と悪いやり方がある。ゲームをひとまとめに悪と決め付けるのではなく正しい付き合い方を学んでいくことが重要である。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2009/07/15