2009 年 7 月 15 日

<魚眼図>悪いのはゲーム?

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

若い人が凶悪な罪を犯すと、その人がテレビゲームをやっていたことがあたかも犯罪の原因になっているかのような取り上げ方をされることが多い。特に暴力的なゲームが矢面に立たされている。政治家や評論家、あるいは医者や教育者にこのような傾向を煽っている人たちがいる。彼らはあたかも悪を叩く正義の味方のようである。
はたして悪いのは本当にゲームなのかを科学的につきとめようという研究が世界中で進められている。その内のひとつハーバード大学の医学部の研究成果が「ゲームと犯罪と子どもたち」という本として最近出版された。その結果を一言で言えば、決してゲームが悪いのではないというものである。子どもは13歳を対象としている。
暴力的なゲームに悪影響を受ける子どもは少しはいるものの、大多数は影響を受けていない(悪影響を受ける割合は「ちゃんばらごっこ」に影響を受けて暴力をふるう可能性と大差ない)。ほとんどの子どもは仮想世界と現実世界を混同していない。暴力的なゲームをした子どものほとんどはそれで怒りを発散して現実に暴力をふるわないですんでいる(むしろゲームがいい影響を及ぼしている)。
もちろんゲームに悪い点もある(オンラインゲームのやり過ぎの悲惨さを書いた「ネトゲ廃人」という本も出ている)。それは本、マンガ、映画、ラジオ、テレビなどに(いい点もあるものの)悪い点があるのと変わらない。本にいい読み方と悪い読み方があるようにゲームにもいいやり方と悪いやり方がある。ゲームをひとまとめに悪と決め付けるのではなく正しい付き合い方を学んでいくことが重要である。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2009/07/15

2009 年 7 月 1 日

<魚眼図>自然は一流…

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

北海道観光を語るときによく言われることに、「自然は一流、設備は二流、料理は三流、サービス四流、関係者の意識は五流」がある。細部はいろいろと異なるものの、同じようなことをよく言われているので、こう見なされていることは認めざるをえない。
こういう批判をされて北海道の住民が「何もわからないよそ者が何を言うか」と反発するとするならば、まさに「関係者の意識は五流」であることを示している。観光というのはよそ者を受け入れることである。よそ者に批判されるのがいやならば、観光地であることをやめて自分たちだけで生きていけばよい。それができずに観光を主要な産業としてよそ者を呼び寄せておいて、なおかつよそ者の批判は受け入れないというのは成り立たない。
まずは北海道の住民たちが自分たちは観光で食べていると正しく認識する必要がある。直接は観光の仕事に携わっていない人でも、そもそも観光のおかげでこれだけの人が北海道に住めることを認めなくてはならない。誰もが観光の恩恵にあずかっている。だとすれば観光客は大事にするべきである。観光の仕事に携わっている人だけではなく北海道の住民の皆が意識をしなくてはならない。「関係者の意識は五流」と言われているなら、それは「住民全体の意識は五流」と言われているのと同じである。なんとかしなければいけない。
観光情報学会の会長をつとめることになった(初代会長の大内東先生から引き継いだ)。学会としてもぜひなんとかしたいと思っている。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2009/07/01

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