<魚眼図>長音符をつけるか
長音符とは主に外来語などで長音を表すのに使われる記号で「ー」と書く。この記号をつけるか(伸ばすか)つけないか(伸ばさないか)は実は根が深い問題なのである。
一般には最後に長音符をつける。北海道新聞も「コンピューター」と伸ばしているはずである。この原稿も伸ばさずに「コンピュータ」と書くと修正される(今回は修正されないはずだが)。筆者は特に強い思い入れはないので、修正されればその指示に従うことにしている。
科学技術の専門文書では最後に長音符はつけない。「プリンター」ではなく「プリンタ」である。規格として三音節以上は長音符をつけないことになっている。「エラー」は二音節なので最後に長音符をつける例外である。この規格はある程度厳格で、好き嫌いにかかわらず伸ばしてはいけない(あくまで伸ばしたいと言い張ったら原稿を載せてもらえない可能性もある)。
話を複雑にしているのは、内閣告示は最後の長音符をつけるのを基本としていることである。伸ばさない規格と伸ばす告示の両方が存在するのだ。結局どちらでもいいということになる。実際も会社によって伸ばしたり伸ばさなかったりしている。
昔は一文字でも短い方が節約になるという理由で伸ばさない方を選んだ意味もあるらしいが、いまは一文字ぐらい気にならない。伸ばす方が日本語としての発音に近い(多くの日本人が「コンピューター」と発音する)のに対して伸ばさない方が元の発音に近い(computerはどちらかと言えば伸ばさない)という違いである。これからはどちらが主流になっていくだろうか。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2009/01/30