<魚眼図>観光の今後
北海道の観光を取り巻く環境はますます厳しくなりつつある。経済状態が落ち込んでいることが大きな原因ではあるが、経済が持ち直したとしてもこのままでは今後の見通しは甘くない。
日本人旅行者は人口減に伴いこれからずっと減っていく。入り込み数を回復させるのはほぼ不可能である。来た人になるべく長くいてもらうための工夫、たとえば滞在型観光を積極的に進める必要があろう。
外国人観光客の対策を急がなくてはならない。表向きは外国人に来てほしいと言いながら、内心では自分のところには来てほしくないと思っている店が多すぎる。日本人だけを相手にしていては観光産業が成り立たなくなるのは明らかである。
出張で来たついでに観光もする客の対策も重要である。旅費を自分で払う必要がないので、その分、地元にお金を落としてくれる期待がもてる。コンベンション施設だけでなく、会議開催のソフト面の支援が不足している。
新幹線に過度に期待してはいけない。これまでの例を見ても新幹線開通効果は長くは続かない。函館を例にとれば、夜景を見たその日のうちに東京に帰る(冬なら十分に可能である)ので宿泊客が減る可能性があるし、地元住民が仙台や東京へ(延伸すれば札幌へも)買い物に行ってしまい地元にお金が落ちなくなる可能性もある。そこに留まってもらうための価値をこれまで以上に打ち出さなければいけない。
残された時間は短い。しかしいますぐに全力で取り組めば北海道の観光はまだ手遅れではないと思う。われわれ観光の研究者も精いっぱい頑張りたい。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2008/11/26