2008 年 5 月 12 日

<魚眼図>トップアマに勝つ

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

今年もコンピューター将棋の大会が連休中に開催された。昨年、渡辺明竜王というトッププロとボナンザというソフトが対戦して話題になった(ソフトは善戦したものの最後はプロが貫禄(かんろく)を示した)ことからもわかるように、いまの将棋ソフトは非常に強い。
筆者はアマ五段なのだが、将棋の実力ではなくコンピューターの実力(ソフトの思考方法がわかる)でソフト相手には強かったが、最近はまったく勝てなくなった。最強ソフトに勝てる人間はプロを含めて日本中でせいぜい数百人であろう。強くなりすぎて将棋ソフトの売り上げは落ちてしまい、喜んでばかりもいられないのであるが。
今回の優勝ソフトの激指(げきさし)と二位の棚瀬将棋が、エキシビションとしてアマの日本一のタイトルを持っている清水上徹氏と加藤幸男氏と対戦した。彼らはプロと比較しても遜色(そんしょく)のないほど強く、これまでソフトは何度戦っても彼らに勝つことはできなかった。それが今回は両方ともソフトが勝ってしまった。
これはコンピューター将棋にとって歴史的なことである。もちろんわれわれは勝つことを目指して頑張ってきたのだが、実際に勝つのを目の当たりにすると複雑な心境である(コンピューターは失うものが何もないが、人間は非常に大きい)。
今回の対戦は持ち時間が短いコンピューターに有利な条件で行われた。ふつうの条件ではまだアマトップの方が強いと思うので、ソフトの実力をさらに伸ばしていく必要がある。いずれにしろ、トッププロに勝つ日が視野にはいってきたのは確かである。意外とその日は近いのではないかと思っている。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2008/05/12

2008 年 5 月 2 日

<魚眼図>体育会系

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

実は根っからの体育会系である。経歴からは勉強ばっかりしていたように誤解されることが多いが、むしろ「スポーツこそ命」の時代が長い。
小学校時代は学校代表として競泳(自由形)に打ち込んでいた。中学受験のために休日は塾の講習に通っていたが、競泳の練習があると喜んで塾を休んで泳いでいた。親もそれを当たり前と思っていた(父親も典型的な体育会系だった)。
中学でもスポーツ三昧(ざんまい)だった。ある競技のかなりの強豪だったのである。私が学生時代に何のスポーツをしていたか大学でクイズを出したら、相撲か柔道と答えた学生が多かった。失礼なやつらだと怒りかけたが、想像できないほど体形が変わった当方が悪いと考え直した(もちろん相撲や柔道が悪いのではない)。
正解はバスケットボールである。合宿では毎日十時間も練習していたら(牛乳を一日三リットル飲んでいたにもかかわらず)身長の伸びが止まってしまった。レギュラー全員がそうだったので、さすがに練習のし過ぎだったのかもしれない。
体育会系というと上下関係に厳しいとか極端な場合は暴力的と思われがちだが、そんなことはまったくなかった。体育会系の最大の特徴は「勝負は勝たなくてはいけない」と信じていることだと思う。いったん勝負となれば、そのルールの範囲内で何をしてでも勝たなくてはいけない。敵の弱点や審判の癖を利用するなどは当然である。そして勝ったら喜び、負けたら悲しむ。勝負に全力を出さずに負けて平然としている人を見ると人ごとながら釈然としない。
もっとも、人生や勉強や研究はまったく勝負ではないと思っているので、体育会系の精神を発揮することはほとんどない。食べ放題で店と勝負しようとして年がいもないと周りからたしなめられる程度である。むしろ減量に向けて勝負すべきかもしれない。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2008/05/02

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