<魚眼図>インスブルック
一月にオーストリアのインスブルックに行ってきた。ある年齢以上であれば冬季オリンピックの開催地としてこの街の名前を覚えているだろう。街自体は盆地で標高は五百メートル程度であるが、すぐ間近に二千メートル級の山々がそびえたっている。日本ではお目にかかれない光景である。
この街に行ったのは観光情報の国際会議に出席するためである。観光分野に情報技術を導入して魅力を高めることを目指して研究を進める、国際的な学会が主催だ。日本にも「観光情報学会」という同じ趣旨の学会があるので、国際的な連携を進めるべく参加した次第である。
冬季オリンピックが開かれたようにインスブルックはスキーリゾートの街である。市街地に雪はほとんどなかったが、学会会場前から出ているケーブルカーとロープウエーを乗り継ぐと一時間程度で二千メートルの山の中にあるスキー場に到達できる。まさに絶景である。北海道に住む者として雪質はニセコの方が勝ると思いたいが、交通の便と景色については負けているかもしれない。
観光情報の研究者の立場からインスブルックを観察すると、観光客向けのインスブルックカードというものに感心した。これを買うとバスや市電などの乗り物(さきほどのケーブルカーやロープウエーも含まれる)に乗れるだけではなく、市内のほとんどすべての観光施設にはいることができる。これ一枚だけ持っていればいいので非常に便利である。
道内にも交通機関乗り放題券や施設共同入場券などいろいろあるものの、ここまで一枚にまとめたものは見当たらない。年配の人にも外国人にも楽である。存在例があるのだから、組織の垣根を越えてぜひ北海道でも実現したいものである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2008/02/26