2007 年 12 月 21 日

<魚眼図>年金照合その後

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

以前この欄で短期間に数千万件の年金情報の照合ができるはずがないと指摘したが、最近になってようやく政府もそのことを認めたらしい。政府が公約を破ったのではないかという政治的な問題になっているが、日本にとって深刻なのはそういう問題ではないと思う。
もちろん嘘(うそ)をつくのは悪いことで、できもしないとわかっていてできると言ったとすればそれはそれとして非難されるべきである。しかし、意思決定者が正しく認識していてあえて嘘をついていたのであれば、嘘をつくことはともかくとして正しく認識できているだけましである。
今回の件については、年金情報の照合が政府の言ったようにすぐにできると信じた人がいたとすれば、考え直してほしい。情報の専門家にとっては、それほど「ありえない」公約だったのである。
深刻なのは、意思決定者が短期間で照合できると本当に信じていた場合である。そう信じてしまったとすれば、意思決定者として能力を決定的に欠くと言わざるをえない。本人あるいはブレーンの人間がちょっと考えれば「ありえない」のは明らかだったからである。
嘘つきだが有能な人と正直だが無能な人のどちらに日本を任せるかは非常にむずかしい選択であるが、どちらかを選ばなくてはならないなら前者を選びたい。無能な人は正しい判断ができないが、有能な人は(嘘をついたとしても)正しい判断をしてくれるはずだからである。その意味で、今回の件も政府は「ありえない」と認識して嘘をついていたと思いたい。そうでなければ救いがない。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/12/21

2007 年 12 月 14 日

<魚眼図>台湾と観光

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

出張で十一月に台湾を訪問した。気温差のせいか帰国後に風邪をひいてしまった(向こうは二五度以上もあったのに、帰ってきた函館はこの冬初めての吹雪だった)が、非常に快適な旅であった。歴史的あるいは自然豊かな観光地に行き、日本では口にしないごちそうを食べ、現地の人と楽しく話をすることができた。
北海道に観光に来る外国人で最も多いのは台湾からである。台湾の人も北海道で同じように快適な旅を楽しもうとしているに違いない。日本人が台湾で楽しめているように台湾人が北海道で楽しめているかというと、少し心もとないように思う。
台湾で日本語はかなり流通している。年配の人が解するのは歴史的経緯によるのだろうが、日本製品があふれているコンビニや街中でよく聞く日本の歌、あるいは流行している日本のゲームなどの影響で若い人も詳しい。
日本ではそれほど中国語が通じないので、観光情報をもっともっと中国語で発信しなければならない。個々の飲食店が中国語のメニューを用意する必要はない(もちろんあれば喜ばれるだろうが)。北海道の典型的な食材や料理の中国語と写真を載せたパンフレットを各店に置いておけばよいだけである(こういう試みはさまざまになされているが、なかなか全体的な動きにつながらないのが残念である)。観光地のパンフレットに中国語の説明を載せる(台湾の観光地のパンフレットには必ず日本語の説明があった)だけでなく、インターネット上に北海道の観光情報を中国語で豊富に提供すべきである。
台湾の人に今後も北海道を選んでもらうために、ぜひとも中国語による情報発信を頑張らなくてはならない。寒い北海道に行って風邪をひくというのもいい思い出になるはずである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/12/14

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