2007 年 4 月 26 日

<魚眼図>ボナンザショック

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 1:03 PM

三月に将棋のトッププロの渡辺竜王とトップソフトのボナンザの公開対局があった。コンピューターが得意とする十秒将棋(一手十秒以内に指す)ではなく、持ち時間二時間という本格的なものである。結果は人間が貫録を示して勝利した。
対戦の前は、コンピューターが負けるのは当然として、みっともない負け方をしないでほしいと思っていた。開発者を含めてコンピューター関係者みんながそう思っていたはずである。ボナンザは強いソフトではあるが、アマ強豪との公開対戦ではあっさりと連敗していた。まだトッププロはかなり遠いという見方が一般的であった。
ところが、実際にはボナンザが大善戦した。中盤まではいい勝負で、渡辺竜王も途中では不利を自覚していたそうである。数多くのプロ棋士が観戦していたが、彼らの形勢判断が分かれるぐらいの接戦だった。
ボナンザは普及版をかなり改良した上に高速のコンピューターを使ったので、これまでよりもかなり強くなっていた。無理な攻めをしなくなって、ほとんど悪手を指さなかった。この対戦の棋譜を見たプロ棋士の多くがボナンザの強さにショックを受けたらしい。
ここまで来ると、何回か対局すればコンピューターが勝つ可能性があると言ってよい。いよいよ時間の問題になってきた。そのXデーに備えて、その後にいかにコンピューターが人間を助けて将棋を発展させていくかを考えておく必要がある。今回の対局でもボナンザはプロ棋士が思いもつかない手を指した。そのことが今後の人間とコンピューターの協調のあり方を示唆しているように思う。(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/04/26

2007 年 4 月 16 日

<魚眼図>はこだて検定

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

最近全国ではやっているご当地検定の函館(道南)版の第一回の試験が三月十一日に実施された。主催者の予想を超える千名近くの受験者があった。道南圏以外からの受験者もかなりあったそうである。
この検定は函館商工会議所の主催で、昨年十二月に発行された「はこだて検定テキストブック」という本にしたがって出題されることになっている。今回は初級コースのみで、九十分間で選択問題(基本は四つの選択肢)を百問解いて七十問以上正解できれば合格である。
こういう検定を実施することの意義はその土地によってさまざまであろうが、「はこだて検定」の場合は地元の人が函館(道南)について学ぶことによってその魅力を再認識し、観光従事者だけでなく多くの人が観光客に対して地元の魅力を伝えられるようにすることである(実はこのことを確認する問題も出題された)。
適切な問題を試験のたびに作成するのは大変むずかしい。毎年入試問題を作成している大学教員としてそれはよくわかる。特に今回は初めてだったので関係者はさぞかし苦労したことだと思う。いい問題も多かったが、一部には首をかしげるものもあった。
この試験の後に、国宝に指定するよう答申が出た中空(ちゅうくう)土偶を尋ねる問題はよかったと思うが、函館山の高さ(メートル)を332、333、334、335から選ばせる問題は感心しない。測定精度の観点から不適切であるだけでなく、それを知っていることの意味がわからない。どの建物と高さが近いかを尋ねるほうがいいと思う(ちなみに正解は334で、東京タワーとほぼ同じ高さである)。
次回の試験は今年の十一月十一日に開催される。次回は上級コースもあるので、どんな問題が出題されるか楽しみである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/04/16

公立はこだて未来大学 松原仁研究室
〒041-8655 北海道函館市亀田中野町116番地2
inquiry@matsubara-lab.net (@は半角に直してください)