<魚眼図>捏造問題
テレビの情報提供番組の捏造(ねつぞう)が問題になっている。発端となった納豆の番組は偶然家族と一緒に見ていた。専門は違うものの、科学者であれば一目でインチキとわかる内容であった。捏造の仕方が稚拙で、取り上げられたデータは明らかに虚偽のものだった。本当の科学だったらあんなに簡単に仮説を証明できたりしない。
驚いたのは捏造そのものではなく、その後の騒ぎの方であった。あの種の情報提供番組がインパクトを出すために物事を面白おかしく演出しているのは常識である。あれほどわかりやすい捏造が一目で見破れない人が多いこと、あとで捏造と知らされて憤慨する人が多いことにびっくりしたのである。
日ごろから人の言うことをうのみにせずに自分自身でよく考えるようにしていれば、納豆の放送もお笑い番組として楽しめたはずである(納豆が本当は体に悪いのであれば笑えないうそかもしれないが、納豆が体によいという結論自体はおおむね正しいので笑って許せるはずである)。
社会にとって深刻なのは、根拠のない(あるいは薄い)情報を安易に信じる人が多いということ、それに加えてだまされたときに情報提供側だけを非難して安易に信じた側の責任を問わない傾向が強いことである。情報が過多の時代なので、どの情報をどの程度信じるかは受け取る側の責任だと思わなくてはいけない。
そもそもそんなに簡単な減量法などありえない。減量の基本はただ一点、入ってくるカロリーより出ていくカロリーを多くするだけだ。減量に万能な食品など存在するはずがないのである。もちろん、筆者の言うこともうのみにせずに自分でよく考えていただきたい。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/03/14