<魚眼図>不具合の割合
今年のセンター入試が終わった。受験生にとってきわめて重要なイベントであるが、試験監督を務める教員にとっても非常に疲れるものである。特に英語のヒアリングの担当になると大変である。ヒアリングの試験では校内放送で英語を聞くのではなく、受験生は一台ずつ配られた装置を使って聞くようになっている。この装置は一度しか聞けない(聞き逃したところを聞き直すことができない)特殊なものである。試験監督の教員は無事に完了させるために神経を使うことになる。
全国で数百人の受験生が装置の不具合でちゃんと英語を聞くことができずに再試験を受けたそうである。新聞やテレビでは数百台もの装置に不具合が生じたことを大きく取り上げて非難していた。その取り上げ方には納得がいかなかった。
センター入試は全国で数十万人が受験している。英語はほとんどの人が受験しているだろうから、装置も数十万台存在することになる。数十万台の中で数百台が不具合というのは、全体の○・一%程度が不良品だったことになる。これは決して悪くない数字である。家電製品にもこれぐらいの割合で不具合は生じている(そのような不良品はメーカーで交換してくれる)。悪くない数字なのになんでこれほど非難されなくてはいけないのであろうか。
これ以上不具合の割合を減らすには莫大なコストがかかる。不具合を数百台から数十台まで十分の一にしようと思えばコストは十倍かかる勘定である。不具合をゼロに近づけようと思ったら一台が数十万円以上してしまうかもしれない(しかも使い捨てである)。もちろん不具合は少ない方がいいが、小さいながらもある確率で不具合が生じることを前提とした反応がマスコミにも望まれる。(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/02/26