<魚眼図>打倒竜王
将棋のプロ棋士の団体である日本将棋連盟は、許可なくプロ棋士がコンピューターと対戦することを禁止しているが、スポンサーがついて、とうとうプロ棋士とコンピューターが平手で対戦することになった。しかもプロ棋士側は「竜王」という大きなタイトルの保持者である。一方のコンピューター側は現在世界一のボナンザである。
あまり大きなニュースにならなかったが、ごく最近にもチェスの世界チャンピオンとコンピューターが対戦して、コンピューターが勝利した。しかも以前のようなスーパーコンピューターではなく、ふつうのパソコンが勝ったのである。
将棋は敵から取った駒が使えるので、指し手の可能性が多くてコンピューターにとってはチェスよりはるかにむずかしい。
正直に言って、将棋ではまだ世界一に勝つのは無理だと思う。奇跡が起きなければコンピューターは勝てない。筆者はアマとしてはトップの五段であるが、奇跡が起きても竜王には絶対に勝てない。それに対してコンピューターは奇跡が起きれば勝つところにまではきたのである。
人間とコンピューターの対戦では、人間だけがものすごいプレッシャーを受ける。チェスでは、世界チャンピオンがコンピューター相手に人間相手ではあり得ない大チョンボを何度も犯している。将棋でも奇跡が起きても不思議はないのである。
チェスでコンピューターが世界チャンピオンに初めて挑戦したときはぼろ負けであった。でもそれから十年足らずの間に勝てるまで進歩したのである。将棋も初回はぼろ負けだろうが、そう遠くない将来に竜王に勝てるようになると信じている。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2007/01/16