2006 年 11 月 28 日

<魚眼図>情報教育再び

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

高校で必修科目の履修漏れが大きな問題になった。主に世界史が未履修の対象だったが、情報を未履修の高校もかなり多かった。この話を聞いて、やはりそうだったのだなと思った。
情報が必修になってから、機会がある度に高校の生徒たちに何を教わっているのかを聞いている。インターネットの検索やメールの読み書き、ワードやエクセルといったソフトの利用の仕方という答が多かったが、その次に多かったのが数学や理科を習っているという答だった。
情報は数学や理科の授業に振り替えるための、受験生にとって無駄な科目なのである。高校にまともな情報を教える先生がいない上に、大学の入試科目に(ほとんど)ないという状態では、情報を教えなくなるのも当然の結果かもしれない。
高校で情報を教えるようにする方法はわかっている。大学入試で情報を必修にすることだ。そして情報の配点を高くすれば、数学の時間を削って情報を教えてくれるかもしれない(笑えない冗談だが)。こういう強引な方法は取らないにしても、情報をちゃんと高校生に教えることはいまの世の中ではとても大切なのである。メールの読み書きや表計算ソフトの使い方などを学ぶ必要はないが、情報とは何かという基本をよく学んでもらいたい。
情報技術で日本は欧米に負けているだけでなく、インド、中国、韓国にも抜かれつつあるというのが現状。巻き返しを図るためには、地道な情報教育を進めるしかない。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/11/28

2006 年 11 月 6 日

<魚眼図>携帯と固定

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

携帯電話の普及は目覚ましく、日本ではほとんどの大人が持つようになっている。子供に持たせるべきかどうかは議論があるところだが、犯罪防止の位置確認などの目的で持たせる家庭が増えている。一人住まいでは住居に固定電話を引かずに携帯電話だけで済ませる場合が多い。
携帯電話の普及に伴い、公衆電話が町の中からどんどん減らされている(筆者の勤める大学は二○○○年に開学したが、最初から公衆電話は一台しか設置されていない)。出先では携帯電話を使うのが普通になっているので、公衆電話がめったに使われなくなったためである。
しかし、それでも公衆電話をなくしてはいけない。
以前電車に乗っている最中に大きな地震に巻き込まれて、長時間に渡ってある駅で移動できなくなったことがあった。乗客がみんな携帯電話で連絡しようとしたため、ほとんどつながらなくなってしまった(輻輳(ふくそう)と言われる状況である)。その駅には公衆電話が一台しか置いてなかったので、そこに長い列ができた。地震直後の情報伝達のあり方としては、非常にまずい状況であった。
携帯電話は同じ場所で多くの人が同時にかけようとすると、どうしてもかかりにくくなる。それは原理的にやむを得ない。何かあったとき、大きな災害や犯罪に巻き込まれたときには、携帯電話はかかりにくいと思っていたほうがいい。
安全を確保するためには、携帯電話が通じないときの代替手段を社会インフラとして用意しておく必要がある。めったに使わないとしても、いざというときのために、公衆電話を一定数は設置しておくべきだと思う。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/11/06

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