2006 年 10 月 18 日

<魚眼図>地元観光

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

函館の湯の川温泉で、「オンパク」というイベントが、二十一日から十一月五日まで開催される。オンパクは温泉博覧会の略で、もともとは九州の別府温泉で二○○一年から行われており、地域活性化・新体験型観光の成功例として知られている。別府の成功例を初めて他の地域で実施してみるというのが今回の函館の第一回オンパクである。
オンパクは、料理教室、散策、コンサートなど参加型のプログラムからなる。観光客も参加できるのであるが、むしろ地元民の参加が想定されている。別府では女性向けのプログラムが好評とのことなので、今回の函館もアロマセラピー、ネイルアート、エステ、ヨガなどのプログラムが並んでいる。もちろん男性が参加できるプログラムも用意されている。日ごろ温泉街に行くことが少ない地元民に訪れてもらうことがオンパクの目的である。
北海道にとって観光は重要な産業であるが、その未来はかなり厳しいものと言わざるを得ない。以前と違って海外に行きやすいので北海道を飛び越えて海外に行く人が多くなっており、その割に海外から日本(北海道)に来てくれる人はそう増えていない。そもそも日本人の数がこれからどんどん減っていくので、それだけ国内観光客の数も減っていく。
これからの観光地はよほど特色を強くしないと生き残っていけない。地元の人が行ってみたいと思わないようなところに観光客は来てもらえない。北海道にとって観光が重要だとすれば、まず地元民が実際に地元を観光するところから始めてはどうだろうか。そうすることで観光客の気持ちが少しずつわかってくるものと思う。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/10/18

2006 年 10 月 4 日

<魚眼図>挑戦する脳

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

いまの時代のキーワードは「脳」らしい。脳を働かせるためのゲームやクイズや本などが流行している。四則演算や簡単なクイズを速く解くことで前頭葉を活性化させるというゲームソフトは、大ベストセラーである。正解率や解答速度によって脳の年齢が示されるようになっている。筆者も最初にこのソフトに挑戦したときに実年齢並みの脳年齢だったので、むきになって脳年齢二十歳と提示されるまで頑張ったものである。
このゲームソフトを現役の東大生にやらせてみたら、前頭葉は全く活性化しなかったそうである。彼らにとって計算問題などはあまりに当たり前すぎて頭を働かせる必要がないのだろう。これは重要な知見を示唆している。
人間は普段当たり前のことをしているときには、前頭葉を活性化しないのである。たとえば将棋の羽生さんも、将棋を指しているときにほとんど前頭葉は活性化していない。だからといって羽生さんの脳の働きが鈍いということでは決してない。むしろ経験を積むことで前頭葉をあまり使うことなく将棋が指せるようになっているのである。
何か新しいことに挑戦しているときに前頭葉は活性化する。だから年齢にかかわらずときどきは新しいことに挑戦してみよう。ふだん計算などしない人は計算問題をやってみればいいし、パズルを解かない人は解いてみればいい。そういう意味で、東大生はたとえば異性を口説くことに挑戦してみれば、きっと前頭葉が働くのではないだろうか。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/10/04

公立はこだて未来大学 松原仁研究室
〒041-8655 北海道函館市亀田中野町116番地2
inquiry@matsubara-lab.net (@は半角に直してください)