<魚眼図>ウィニー問題の背景
ウィニーのウイルスソフトによって情報が漏えいしている問題の背景を考えてみよう。本来は職場ですべき仕事を自宅に持ち帰っていることがまずひとつある。これは仕事が多すぎるためである。また、職場に残って仕事をされると残業代を払わなくてはいけないので職場が嫌がるためである。さらには、不景気で従業員が減らされて一人一人の仕事が増えているためである。
筆者も可能であればすべての仕事は大学で勤務時間内に済ませたいところだが、とても量的に間に合わないし、午後八時を少し過ぎると自宅に帰る交通手段がなくなってしまうので、ほとんど毎夜、週末も自宅で仕事をしている。情報を外に持ち出すなというのであれば、勤務時間内で終わるような仕事を割り当てるべきである。
勤務時間内に頑張って仕事が終わらなくても、仕方ないと見なして次の日に回すようにすべきである。それができないのであれば、仕事の自宅持ち帰りをちゃんと認めるべきである。
もう一つは仕事で必要な道具を職場が買ってくれないので、仕方なく自腹を切って買っていることがある。私物コンピューターを仕事に使っていることが非難されているが、非難されるべきは仕事用コンピューターを買い与えない職場の方である。警察や消防が仕事に使っている携帯電話も、ほとんどが私物だと聞いている。コンピューターや携帯電話などの情報機器は、私物を仕事に使うことが日常化しているのである。仕事専用の情報機器を職場が買い与えるようにすべきである。
結果的に情報漏えいを起こしてしまった人は不注意ではあったものの、仕事熱心だったということになる。仕事熱心な人が憂いなく仕事をできるように職場が態勢を整える必要があると思う。態勢を整えれば情報漏えいのほとんどは防げるはずである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/05/23