<魚眼図>テレビゲーム
テレビゲームを対象とした国際会議に参加してきた。毎年三月にアメリカで開かれるもので、一万人以上のテレビゲーム開発の関係者が世界中から集まってくる。うわさには聞いていたのだが、ものすごい熱気である。ゲーム先進国の日本の地位は高く、ソニーや任天堂の基調講演は会場に入れない人が出るほどのにぎわいだった。
しかし、テレビゲームは世間の厳しい視線を浴びている。新しいメディアはいつの世も目の敵にされる。テレビが普及し始めたときも「目が悪くなる」「総白痴化」などと批判された。テレビに悪い部分があるにしろ、メディアとしてこれだけ広まっているものを、いまさらなくすわけにはいかない。悪い部分を減らして良い部分を増やしていくことになる。
テレビゲームも同じである。いままでのメディアはもっぱら人間が情報を受け取るだけだったが、テレビゲームは受け取るだけでなく送り出すこともできるという双方向性に特徴がある。その新しさが魅力でもあり、また一方でこれまでのメディアにない問題を引き起こす原因にもなる。ゲーム開発者も当然のことながらテレビゲームの社会性に関心を払っている。
テレビゲームへの批判に対しては、その根拠の妥当性の検討も含めて科学的な調査や分析を行っている(中には現代社会におけるスケープゴートとして、テレビゲームを感情的に批判しているものもある)。また教育などまじめな目的のためにテレビゲームを利用しようというシリアスゲームの試みも始まっている。悪い部分だけをとらえて全否定するのではなく、良い部分を伸ばしていくようにしたいものである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/04/17