<魚眼図>さよならアイボ
ソニーが三月でエンターテインメントロボットのアイボの販売をやめることを発表した。既に店頭販売をやめてインターネット販売だけになっていたこともあって撤退の方向は明らかになっていたものの、実際に販売終了というニュースを耳にすると寂しいものである。
筆者は三千台が二十分で売り切れた初代から最後の代まですべての種類のアイボを十台ほど所有している。ソニーのアイボ開発者から「個人でそんなに所有している人はほかに知りません」とあきれられたほどのアイボのファンである。遊ぶためのロボットというエンターテインメントロボットの概念はアイボが作ったと言ってよい。
筆者がずっとかかわっているロボットのサッカー大会のロボカップでも、アイボのリーグが観客にもっとも人気がある。動物の形をしているので思い入れがしやすいためであろう。毎年子どもたちから「手がボールに触れているのでハンドではないか」という質問が来る。英語で「動物なので手ではなく前足だからハンドではありません」と答えるのに慣れてしまった。
ソニーがアイボから撤退するのは会社が不景気だからという理由だけではないだろう。これだけ世の中でロボットが目立っていても、産業用を除くとロボットはまだほとんど商売になっていないのである。会社の技術力を示す広告塔としてロボットを開発していくのはおのずと限界がある。できるだけはやくロボットを商売にしなければならない。
アイボはロボットの歴史に残る。これからもずっとかわいがっていきたい。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2006/02/21