2005 年 12 月 9 日

<魚眼図>麻雀の科学

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

ゲームの学会で「とつげき東北」氏の講演を聴いた。彼が書いた「科学する麻雀(マージャン)」(講談社現代新書)を読んで非常に面白かったので、ぜひ本人から直接話を聞いてみようとなったのである。名前はもちろんペンネームで、本職は国家公務員で中央官庁に勤めているらしい。
最近は麻雀もインターネットで遊ぶことができる。四人集まらなくても自宅で手軽に遊べるので、たくさんの人が楽しんでいる。そのおかげで詳細な対戦記録が大量に集まっている。
とつげき東北氏は麻雀を科学の対象として大量の記録を分析している。その結果、世間で言われている麻雀の格言の多くが間違っていることが明らかになっている。たとえば「リーチ宣言牌(ぱい)の周辺は危険(いわゆるソバテン)」という格言はよく信じられているが、これは間違いである。「不調のときはダマテン」という格言は麻雀に「勢い」や「流れ」があることを前提としているが、勢いや流れがあると主張するのは宗教的な信念にすぎず、科学的な裏付けは皆無である。とつげき東北氏は統計や数理の根拠に基づいてこれらの格言のうそを暴いている。
筆者の学生時代は麻雀に明け暮れていたが、麻雀の戦術書には大きな不満を抱いていた。著者の単なる思い込みや精神論しか書いていないからである。今回初めて根拠のある麻雀の本に出合うことができた。
麻雀はばくちのイメージが強いために将棋や囲碁ほど研究が進んでいない。しかし社会性が深く関係しているゲームとして麻雀は興味深い研究対象である。麻雀を研究することで現実社会につながる知見が得られることを期待したい。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/12/09

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