2005 年 10 月 25 日

<魚眼図>外国語情報

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

七月に起きた関東の地震に巻き込まれて情報が得られずに苦労した話を以前に書いた。日本人でしかも関東出身である筆者ですら大混乱したので、日本語がわからない外国人はさぞ大変だったと思う。東京から成田に向かう電車だったので、飛行機に乗る外国人が多数乗車していた。筆者も周りにいた外国人に英語で状況を説明した記憶がある。電車にはあらかじめ録音された英語の案内はあるものの、緊急時の情報を英語で提供することはなかった。
外国語の代表はもちろん英語であるが、日本に来る外国人が皆英語を話すとは限らない。最近はたとえば韓国や中国から来る人も多い。日本における外国語情報のほとんどは英語なので、彼らにとって緊急時はさらにつらいのではないかと想像される。
日本人が外国に行ったときには同じ状況が生じる。英語がわかる人であれば英語圏ではなんとかなるかもしれないが、非英語圏で緊急事態が起きると情報を得るのが非常にむずかしい。台風が近づいて遊泳禁止なのに泳いでいて高波にさらわれるという事故につながったりする。
観光で外国人を日本に誘致するためには、外国語での情報提供を充実させる必要がある。しかし緊急時ということと日本人の多くは英語が苦手であることを考えると、いざというときに英語の情報提供を求めるのは現実的にはむずかしい(日本語での情報提供すらおぼつかないのだから)。他の外国語はなおさらむずかしい。そこで情報処理技術を用いて(半)自動的に外国語情報を提供する仕組みを実現したいと考えている。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/10/25

2005 年 10 月 4 日

<魚眼図>スーパーパソコン

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

台湾のゲームの学会でシューさんの招待講演を聴いた。彼はIBMのディープブルーを開発した人である。ディープブルーが一九九七年にチェスの世界チャンピオンのカスパロフに勝ったことを記憶している人は多いだろう。筆者が彼に会うのもこのとき以来だった。シューさんが台湾の出身ということでこの招待講演になったものと思う。
ディープブルーが引退した直後にシューさんはIBMを辞めた。いまはマイクロソフトのアジア支社に勤めている。シューさんはハードウエアの専門家で、ディープブルーでもチェス専用ハードウエアの開発を担当していた。そんな彼がソフトウエアの会社であるマイクロソフトに就職したと聞いて不思議だったのだが、この会社もハードウエアの研究開発に力を入れているようだ。ハードウエアが進歩すればそれがソフトウエアの進歩につながり、回り回って最終的にはマイクロソフトの利益につながると期待しているらしい。
シューさんのところでは廉価で高性能のハードウエアを開発中とのことである。これができれば、ディープブルー相当のコンピューターが千ドル(日本円で十万円強)で買えるらしい。一九九七年のディープブルーは当時の最高速のスーパーコンピューターに数百台のチェス専用ハードウエアを追加したものだった。数億円から十数億円はしたはずである。あらためて進歩の早さを実感する。
シューさんも言っていたが、この新しいハードウエアを使えば将棋や囲碁のプログラムもずっと強くなりそうである。囲碁はすぐには無理そうだが、将棋は名人にかなり迫れると思う。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/10/04

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