<魚眼図>地震の直後
七月二十三日に起きた関東の震度5強の地震に遭遇した。地震のときに都内から成田へ向かう電車に乗っていたのである。午後四時半前後の地震の直後に電車は全線でストップした。線路の安全を確認しています、確認でき次第運行を再開します、というアナウンスが流れた。すぐに上り(上野)方面は運行が再開された。偶然にも私がいた駅が折り返し運転の終点と起点になっていた。肝心の下り(成田)方面は、再開の見込みがたっていませんというアナウンスがときどき流れるだけであった。復旧までの見込み時間を早めに客に知らせるべきだったと思う。
そうして数時間が経過した。電車をあきらめて他の手段を取ろうとする人も増えてきたが、他の鉄道もストップしてタクシーもすべて乗車中であったため、なかなか代替手段は見つからなかった。
携帯電話は発信と受信の制限がかかり、つながりが悪くなった。公衆電話に長い列ができた。最近公衆電話の数が減っているが、こういうときのために最低限は確保する必要があるだろう。そもそも駅で必要な情報がアナウンスされないのがいけない。電話で知り合いに連絡を取ってテレビやラジオの情報を教えてもらうだけだったのである。
さらに数時間がたってようやく下り方面も復旧した。電車の数は少なく、どの車両も超満員だった。結局筆者が成田のホテルにたどり着いたのは真夜中になっていた。
天災なので、電車が止まったこと自体は仕方ない。問題なのは情報の伝達方法である。もっと大きな地震が起きたときに備えて対処しておく必要がある。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/08/25