2005 年 8 月 25 日

<魚眼図>地震の直後

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

七月二十三日に起きた関東の震度5強の地震に遭遇した。地震のときに都内から成田へ向かう電車に乗っていたのである。午後四時半前後の地震の直後に電車は全線でストップした。線路の安全を確認しています、確認でき次第運行を再開します、というアナウンスが流れた。すぐに上り(上野)方面は運行が再開された。偶然にも私がいた駅が折り返し運転の終点と起点になっていた。肝心の下り(成田)方面は、再開の見込みがたっていませんというアナウンスがときどき流れるだけであった。復旧までの見込み時間を早めに客に知らせるべきだったと思う。
そうして数時間が経過した。電車をあきらめて他の手段を取ろうとする人も増えてきたが、他の鉄道もストップしてタクシーもすべて乗車中であったため、なかなか代替手段は見つからなかった。
携帯電話は発信と受信の制限がかかり、つながりが悪くなった。公衆電話に長い列ができた。最近公衆電話の数が減っているが、こういうときのために最低限は確保する必要があるだろう。そもそも駅で必要な情報がアナウンスされないのがいけない。電話で知り合いに連絡を取ってテレビやラジオの情報を教えてもらうだけだったのである。
さらに数時間がたってようやく下り方面も復旧した。電車の数は少なく、どの車両も超満員だった。結局筆者が成田のホテルにたどり着いたのは真夜中になっていた。
天災なので、電車が止まったこと自体は仕方ない。問題なのは情報の伝達方法である。もっと大きな地震が起きたときに備えて対処しておく必要がある。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/08/25

2005 年 8 月 4 日

<魚眼図>名人に勝つ日

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

六月下旬に開催された将棋のアマ竜王戦で、プログラムとして特別出場した「激指(げきさし)」がベスト16まで進出した。
この大会は都道府県代表が将棋のアマチュア日本一を競うものであり、プログラムが出場したのは今回が初めてであった。予選は四人が対戦して二勝以上が決勝トーナメントに出場できる。激指の開発者を含めた関係者の予想は、予選で一勝を挙げれば上出来で、予選を抜けてトーナメントに進むのはまず無理だろうというものだった。大差で全敗という事態だけは避けてほしいと願っていた。
それがふたを開けてみたら予選は二連勝で勝ち抜けた。将棋の内容も非常に優れていた。トーナメントの一回戦も予想外に勝ってしまった。関係者やマスコミも大騒ぎになったが、二回戦は序盤で作戦負けを喫してそのまま完敗した。ようやく序盤が弱いというプログラムの欠点が出たのである。それにしてもベスト16という成績はできすぎだった。
しかし、本戦で負けた後に元アマチュア日本一の二人と練習対局をさせてもらったところ、なんとそのうち一人には勝ってしまった。将棋のプログラムは関係者が思っている以上に強いことがわかった。あと数年の間にアマチュア日本一の座も狙えそうだ。
関係者の目標はプロの名人に勝つプログラムを作ることであるが、その目標の達成も視野にはいってきた。順調にいけばあと十年以内にその日が来ると思われる。何度も言うようであるが、人間とコンピューターの戦いという図式で見るのではなく、人間同士の戦いとして見てほしいと願っている。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/08/04

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