2005 年 3 月 28 日

<魚眼図>ロボットの安全性

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

この十年でロボットが身の回りにかなり進出してきた。いまはまだ遊び相手程度だが、近い将来に家電製品の一部として家庭に普及することが期待されている。そのときに問題になるのが安全性である。
他の家電製品とロボットが異なるのは、ロボットは動くということである。動けば何かにぶつかる可能性もあるし、倒れる可能性もある。暴走して制御できなくなってしまう可能性もゼロではない。壁や床を壊してしまうかもしれないし、人を傷つけてしまうかもしれない。人間のような形をした二足歩行ロボットは特に倒れたときの衝撃が大きい。
ロボットの開発者は昔から安全性には非常に気を使っている。多くのロボットには非常停止ボタンがついていて、いざというときにはそれを押すと瞬間的に止まるようになっている。大学のロボット研究室では先輩の実験の傍らで後輩がいつでも緊急停止ボタンを押せるように待機しているのが普通である。また、技術的には早く動けるようになっていても安全のためにスピードを制限している場合も多い。
安全性に気を使っているとはいえ、世の中に絶対安全なものは存在しない。どんなものでも故障する可能性はある。また人間の方が使い方を間違えてしまう可能性もある。使い方を間違えると危険だが、正しく使えば非常に便利だというものは世の中に多い。
その代表格が自動車である。われわれは危険性を認識した上で自動車を便利に使っている。ロボットも将来は自動車のように認識されてほしい。そのためには、危険性を許容範囲内に収める必要がある。いま関係者の間で安全基準作りが進んでいる。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/03/28

2005 年 3 月 3 日

<魚眼図>観光における風評被害

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

ある地域で地震や噴火などの災害が起きた影響によって、被害を受けていない地域の観光に大きな損害が生じることがある。最近では新潟中越地震によって、ほとんど被害がない越後湯沢の観光客が激減している。新潟で地震が起きたという報道で、新潟の一部である越後湯沢でも大きな被害があったと思われてしまったのである。これは風評被害の一つである。
観光を主要産業の一つとする北海道にとって、越後湯沢の例はひとごとではない。たとえば有珠山の二○○○年の噴火で、函館の観光は大きな被害を受けた。団体旅行が函館と洞爺をパックにしているためでもあるが、有珠山の噴煙が函館に降っていると信じた本州の人が少なからずいたためでもある。
本州の人は北海道の広さがわかっていない。道東で地震があると、心配した電話やメールが函館の自宅に届く。札幌に出張で来た友達から「今晩飲みに行こう」という誘いの連絡が夕方に届く。函館に着いた観光客が、レンタカーを借りて日帰りで札幌の雪まつりに行こうとする。こういうエピソードには事欠かない。
本州の人にとって北海道は実際よりはるかに狭い印象なのである。したがって北海道のどこかで災害が起きると、北海道全体が被害を受けたと思われてしまう。したがって他の地域の観光にも大きな影響が出てしまう。
観光の風評被害を全くなくすことは難しいだろうが、例えばインターネットで積極的に情報を発信することで、その観光地が元気であることをアピールするなど、さまざまな工夫を考える必要があるだろう。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2005/03/03

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