2004 年 11 月 29 日

<魚眼図>IT企業はうさん臭いか

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

今年はプロ野球が騒がしかった。新規参入に手をあげた二つの会社はともにIT企業だったし、ダイエーを買収しそうなのもIT企業である。某オーナーに「そんな会社は知らない」と言われるほど新しい企業であったり、起業をした社長が三十代で大金持ちになったり、Tシャツで人前に出たりと話題には事欠かない。
既存のチームのオーナーたちが、これらの企業の提案に最初は否定的だったのは、IT企業を何となくうさん臭いと感じているためであろう。実はプロ野球のオーナーだけではなく、日本人の多くが内心そう感じているのだと思う。
日本人はモノには喜んで金を払うが、情報には金を払おうとしない。たとえば薬には金を出すが、医者の助言には金を出そうとしないのである。コンピュータの用語を使えばハードには金を出すが、ソフトには金を出さないという言い方になる。役人も目に見えるモノには予算をつけるが、目に見えないソフトには予算をつけたがらない。
日本で音楽ソフトやゲームソフトの違法コピーがなくならないのはソフトに金を出す感覚が薄いことと関係がある。
IT企業は情報を売って生業(なりわい)にしている。情報に金銭的価値を見いださない人にとって、そういう会社は虚業を営んでいるように見えるのであろう。優れたモノが日本の貴重な財産なのはもちろんであるが、優れた情報も物理的資源の少ない日本にとって貴重な財産なのである。
意識改革が必要なのはプロ野球のオーナーだけではない。日本人みんなが情報の価値を理解して、IT企業というだけでうさん臭く感じることのないようにならなければいけない。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2004/11/29

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