2004 年 8 月 4 日

<魚眼図>大学発ベンチャー企業

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

大学の役割として産官学の連携が重視されるようになっている。かつてのように象牙の塔にこもるのではなく、広く社会とかかわりをもって産業に貢献することが求められているのである。アメリカのシリコンバレーなどを手本として大学発のベンチャー企業を起こして日本の経済を活性化しようとしている。
この方向性はもちろんいいのだが、残念ながら日本では体制が旧態依然としていてアメリカのように大学からベンチャー企業がどんどん生まれるような状況にはない。ベンチャー企業のほとんどは失敗する。その設立資金を出すのは非常にリスクが大きく、戻ってこない可能性が高い。したがってその企業にかかわる大学の教員など研究者が出資して役員になることが多い。しかし、国公立の大学だと設立した企業に知的所有権を独占利用させるのがむずかしいし、大学の予算でその企業に仕事を頼むのもむずかしい(すぐに利益相反というクレームがつく)。どこかの政治家が未公開株をわいろ代わりにもらっていたせいで、ベンチャー企業の未公開株を持つことも(そのほとんどは紙くずになるにもかかわらず)むずかしい。日本は表面上では研究者の起業を促進すると言いながら、実際はその足を引っ張る規則が山のように存在するのである。
不正行為がいけないのは当然であるが、不正行為を防ぐための規則によって本来すべき行為が妨げられている現状はどうにかしなくてはならない。何も特別なことをしないのが美徳とされた時代にできた規則をいますぐに変えないと日本は立ち行かなくなってしまう。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2004/08/04

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