<魚眼図>「進化」論
最近、進化という言葉がよく聞かれるようになっている。登場するキャラクターが「進化」するテレビゲームの影響も大きそうだ。ダーウィンもあの世で喜んでいるだろうと言いたいところだが、最近の進化という言葉の使い方は生物学本来の意味からは大きく外れているので、彼は逆に悲しんでいるに違いない。
まず、生物学的「進化」というのはたくさんの世代を経て変化することを言う。「人間とサルは共通の祖先から進化した」という使い方は正しい。しかしある世代が学習して変化することは進化とは言わない。「このクラスの子供たちは学園祭を通じて進化した」という使い方は生物学的には間違っている。
また、進化は必ずしも適切な方向に変化することを意味しない。変化した結果、そのときの環境に偶然うまく適合したものだけが生き残っている。最近、「進化」という言葉は、悪いものがいいものになるという生物学的には間違った意味で使われている。
さらには、生物学的進化は集団で起こるもので個体に起こるものではない。「あの選手は年々進化している」というのは二重に間違った使い方である。「キャラクターが進化する」というのも明らかな誤用となる。一般に使っている「進化」は進歩の意味なのであろう。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2004/05/24