2004 年 1 月 30 日

<魚眼図>漫画を読む言い訳

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

この年になってもいまだに漫画が大好きである。週に何冊も週刊漫画を買い、自宅の本箱の二つが漫画の単行本で埋まっていて、しかもそれがずっと増え続けている。「鉄腕アトム」から「ヒカルの碁」までの少年漫画、「めぞん一刻」などの青年漫画はもちろんのこと、さらには少女漫画も守備範囲内で、空知管内上砂川町生まれの山岸凉子さんの大ファンでもある。
子供のときに、親や先生が漫画を読むなと言わなかったことが大きいと思って非常に感謝している。「鉄腕アトム」でロボットに興味を持ち、学習漫画で科学全般に興味を持った。その他さまざまなことを漫画から学んできた。よくある言い方を借りれば「ぼくはすべてのことを漫画から学んだ」と言っていい。
日本人は大人になっても漫画を読んでいると外国人から非難されることがあるが、それは日本漫画のレベルの高さを彼らが知らないためである。はっきり言って外国にはまともな漫画がほとんど存在しない。日本漫画は立派な芸術作品だ。
漫画を読んでいると世の中の流れがよくわかる。特に少女漫画が近未来像を鋭く描写している。最近は少女漫画にロボットが登場するようになってきた。少年漫画に登場するロボットはいかにもロボットという感じだが、少女漫画のロボットはロボットらしくない(たとえば「まるいち的風景」や「A・Iレボリューション」などの漫画がお勧めである)。将来ロボットが家庭にはいったとき、ロボットらしくないロボットがどうあるべきかを考えるのによい勉強になる。ということで、今日も漫画を読んでいる。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2004/01/30

2004 年 1 月 27 日

<魚眼図>ロボット作成教室

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

冬休み、大学に小中学生を集めてロボット作成教室を行った。部品を組み立ててコンピューターやモーターやセンサーなどをそれにくっつけていく。子供用だからといって馬鹿(ばか)にしてはいけない。このロボットは子供がリモコンで操作するのではなく、子供が書いたプログラムによって動くのである(鉄人28号型ではなく鉄腕アトム型である)。
壁にぶつかったら方向を変える、前にボールを見つけたら前進してドリブルをするなどの基本動作を積み上げていくことによって、ロボットにサッカーの試合をさせることができる。
作成中に親は一切口出し手出し無用である(代わりに大学生が見守って助言する)。二日間で初歩的なサッカーをするところまでいくことが教室の目標だが、みんな目標を達成することができた。
自分で作ったものが動くのはうれしいものとみえて、子供たちは休み時間も惜しんで作成に励んでいる。もの作りの経験を子供のうちに積むことは非常に大切である。
ニッパーやねじ回しの使い方を学ぶのもさることながら(ねじ山を崩さずにねじを締めるのはノウハウが必要である)、頭の中で考えた通りにものが動くとは限らないということを実地に学べるのが大きい。このロボットは二つの車輪で動くのだが、なかなかまっすぐに進まない。たとえばバリ(金型の継ぎ目にできる不必要な出っ張りのこと)をやすりできれいに取らないといけないのである。
日本の科学技術が復活できるかどうかはいまの子供たちにかかっている。ロボット作成教室が彼らにいい刺激になることを願っている。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2004/01/27

2004 年 1 月 5 日

<魚眼図>その後のコンピューターチェス

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

オーストリアのグラッツで開かれた思考ゲームの国際会議に出席してきた。山の中の洞窟(どうくつ)を利用した幻想的な会場でその学会は行われた。素晴らしい施設を使わせてもらえたのは、グラッツ市長がチェスの大ファンだからという話だった。
同じ会場で、チェスのプログラム同士の世界大会も開催されていた。一九九七年にディープブルーというコンピューターチェスが世界チャンピオンのカスパロフに勝って以来世間ではあまり注目されることがなくなってしまったが、依然としてコンピューターチェスの開発は続いているのである。
最新鋭のスーパーコンピューターにチェス専用小型コンピューターをたくさん搭載したディープブルーと異なり、その後はだいたい普通のパソコンを使っている。パソコン上で動くプログラムでなければ商売にならないという理由が大きいが、それだけパソコンの性能があがってきたということでもある。
実は九七年以降も人間とコンピューターのチェス対戦は少なくとも三回行われている。コンピューター側はパソコンソフトである。その三回ともすべて引き分けに終わっている。このことは二つの意味で興味深い。一つは誰でも買えるパソコンソフトが、世界チャンピオンと引き分けるまでになってしまったことである。もう一つは、それでも負けはしない人間側の強さである。
大局観が重視されるゆっくりした戦いでは、まだ人間の方に分があるようだ。ここ数年は互角の戦いが続きそうである。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2004/01/05

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