<魚眼図>たかがゲームされどゲーム
国内のテレビゲーム開発者が集まる会議に出席して話をしてきた。千人以上の参加者のほとんどが若い人で、会場は熱気にあふれていた。
漫画やアニメと並んでテレビゲームは日本が強い分野の一つであるが、最近やや勢いが頭打ちになりつつある。開発費が高くなりすぎ、製品が売れないと会社は大損害になる。したがってどうしても冒険を避け、売れた製品の続編に逃げてしまいがちになる。守りに入った続編はつまらなくて売れない。かつて映画業界が陥った悪循環である。
面白いテレビゲームを効率的に作るには、そのための方法論を考えなければならない。また業界として共通化できる部分は共通化してコストの削減を図るべきだろう。これまで各社が一匹狼(おおかみ)的に活動してきたこの業界にみんなが集まる会議ができたのは、関係者の間にそのような意識が高まってきたためである。
一方で大学の研究者はこれまでテレビゲームを相手にしてこなかった。将棋や囲碁などの思考ゲームはまだしも、娯楽性が強いテレビゲームは学問の対象ではないと見なしてきたのである。大学が産業との関(かか)わりを真面目(まじめ)に考えるようになって初めて正面から向き合うようになった。
テレビゲームには習慣性、暴力性などで悪い影響があると言われている(かつてテレビの悪影響とされていたものと同じである)。産学が共同していくことで、これらの悪い影響を減らしつつ、面白いゲームを作り出していけるものと期待している。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2003/11/04