<魚眼図>観光情報学
観光情報学会という学会が発足し、九月十二日に札幌で設立総会が行われた。この学会は情報技術を観光の発展に生かすことを目指したもので、観光業関係者、自治体関係者、研究者などがメンバーである。全国的な学会であるが、道内からは札幌、ニセコ、函館などの観光地がモデル都市としてはいっている。
あらためて言うまでもなく、北海道にとって観光は大きな資源である。東京生まれの筆者にとって、北海道は最も魅力的な観光地だった(過去形で書いたのは、いまは住んでいるからである)。大学生のときから何度も道内を長期にわたって旅行したものである。そういうわけで、北海道で生まれ育った人よりも、観光資源としての北海道を客観的に見ることができると思う。
確かに北海道は見るもの、食べるもの、楽しむもの(温泉など)が豊富で、観光の材料は十分に揃(そろ)っている。材料自体が魅力的なので、それに頼ってしまって、ともすると工夫に欠けるきらいがあるように感じる。
もちろん北海道の魅力は自然にあるので、自然を下手にいじるのは逆効果である。北海道の自然の魅力をできるだけそのまま提供するという考え方は正しい。問題は、客の好みは人それぞれということにあり、その点での工夫が足りないのである。お仕着せの観光ではなく、各人の嗜好(しこう)にあった観光を提供する必要がある。
情報技術は一人ひとりの好みに低いコストで対応するのに向いている。観光情報学会の発足をきっかけに、北海道の観光がもっと魅力的なものになっていけばと期待している。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2003/10/01