<魚眼図>囲碁とコンピュータ
八月二、三日に岐阜県の大垣市でコンピュータ囲碁の世界大会が開かれた。囲碁を打つプログラム同士がコンピュータの上で戦うというもので、日本で開催されたのは四年ぶりになる。
囲碁は中国で生まれて日本で飛躍的に向上したものだが、いまや世界中に愛好者が存在する国際的なゲームとなっている。漢字を使う将棋と異なり、囲碁は黒と白の石だけというとっつきやすさが受けるのだろう。敵の大将を捕まえるゲームは多いが、確保した陣地の広さを競うゲームは珍しいということもあろう。
チェスは人間よりコンピュータが強くなり、コンピュータ将棋もアマ四段を超えているが、囲碁はまだまだ人間の方がずっと強い(コンピュータはせいぜいアマ四、五級である)。たくさんの選択肢の中からいい手を速く探すことによってチェスや将棋のプログラムは強くなったのだが、囲碁は選択肢があまりにも多すぎてそのやり方が通用しないのである。コンピュータにとって世界中で一番むずかしいゲームが囲碁と言ってもいいかもしれない。
囲碁のプログラムの開発は(約四十年前に)西洋で始まった。それ以降伝統的に欧米が強い(イギリス、アメリカ、オランダなどが強豪である)。最近はそれに加えて中国、北朝鮮、韓国というアジア勢のプログラムも強くなってきた。迎え撃つべき日本は(プロ棋士の囲碁界においても最近はそうであるように)つらい戦いを強いられている。それでも今回の大会では「はるか」という日本のプログラムが二位にはいった。この調子で次回以降も頑張ってほしいものである。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2003/09/04