<魚眼図>うどん打ちロボット?
うどんを打つのを趣味としている。打ち始めて十年以上になるが、非常に奥が深い。食べ物はなんでもそうであろうが、まずは材料の小麦粉がとても重要である。いわゆる中力粉を使うのだが、どの小麦粉を使うかでうどんの味はまったく変わってしまう。いろいろな小麦粉を買ってきては試してみたが、値段が高くても、国産のもので作ったうどんが明らかにおいしい。
いい小麦粉があれば、それに塩水を加えて、こねて、寝かして、延ばして、切って、ゆでればうどんになる。単純作業に思えるが、日によって水の分量、塩加減、こねる時間や強さ、寝かせる時間などを微妙に調整しなければおいしいうどんにならない。経験を積めば、天気、気温、湿度などに応じて打ち方を自然に変えられるようになる。道具も凝り始めるときりがないが、素人には関係ないようだ。ただし麺(めん)切り包丁だけはよく切れるものがいい。
うどんは、少なくともいまの時点では、機械打ちよりも手打ちの方がはるかにおいしい。機械にこね方を柔軟に調整する能力がないためだろう。機械でおいしいうどんを打つには、やはり人間の「手」に似た形状の機械でうどんをこねる必要がありそうだ。
将来はロボットが打った「機械手打ち」のうどんをおいしく食べることができるだろう。ただ家庭にまでそういうロボットが普及するにはかなりの時間がかかりそうなので、しばらくは自分でうどんを打ち続けることになりそうである。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2003/03/05