<魚眼図>一年爆弾
パソコンが壊れてしまった。学生にはまめに、データ保存のためのバックアップを取っておくように言っておきながら、自分はしばらく取っていなかったのでかなり慌てた。書きかけの一番重要なファイルが失われている可能性が高いからである。日ごろの行いが良かったのか、一瞬パソコンが復活してくれたので、その間に重要なファイルをコピーできたのは幸いだった。
パソコンの修理中は非常に不便である。他のパソコンで代用は可能なのだが、設定を壊れたパソコンと同じにするのが面倒なのと、直ったときに壊れていた間の情報を元のパソコンに戻すのがまた面倒なのだ。結局、修理が済むのを待つしかない。
それにしても最近のパソコンはよく壊れる。仕事柄、たくさんのパソコンを使ってきたが、昔は寿命が尽きるまで使いつぶしていた。同じパソコンを十年以上使い続けたこともある。最近のパソコンは購入後一年たったときが危ない。無料修理の保証期間が購入後一年なので、メーカも一年間は壊れないように作っている。一年を過ぎると急に壊れやすくなる(泣きながら修理費用を払うはめになる)。某企業のパソコンは購入後一年たつのを待っていたようにうまく壊れるので、「一年爆弾」が仕込まれているという噂(うわさ)が立つほどである。
CPU(中央演算処理装置)もメモリもディスクも進歩が速いので、確かに一年もたつと技術的に既に古くなってしまう。そういう意味で一年経(た)って壊れたら修理せずに最新のパソコンに乗り換えるのが理想である。でも一年ごとに買い替えるにはまだパソコンの値段は高すぎる。
ということで修理が済むのを待ちながら不自由さを我慢して、この原稿を書いている次第である。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2002/08/02