<魚眼図>ろうそくは偉大なり
みずほ銀行に続いて全日空のコンピューターシステムもダウンした。システムが大きいと全体を把握するのが難しく事態が深刻になってしまうので、こういう事件は大きな組織(企業、自治体、国家など)ほど起きやすい。ということは、社会生活に及ぼす影響が大きいので、ダウンしてもらっては困るシステムほど、ダウンしやすいということになる。システムがダウンした組織にも問題はあるだろうが、巨大システムというのはもともとダウンしやすいものなのである。
好むと好まざるとにかかわらず、さまざまな巨大システムに囲まれて生きているわれわれとしては、巨大システムはときどきダウンするということを前提にあらかじめ防御措置を取っておく必要がある。停電が長引いたときのために懐中電灯やろうそくを用意する、あるいは水道が長期間出ないときに備えて水を蓄えておくのと同じである。
銀行のシステムがダウンしたときに備えて現金や換金性の高いものを手元に用意しておく。携帯電話(だけ)が不通になる事態に備えて固定電話も用意しておく。インターネットでは加入しているプロバイダーがダウンしたときに備えて他のプロバイダーにも加入しておく。大事な情報はコンピューターの中だけに置かずに紙にプリントしておく。大事な人に電子メールが送れなくなった場合に備えて電話番号や住所を控えておく。
このハイテク社会にこんなローテクな措置をと思うかもしれないが、いざというときに頼りになるのはやはりローテクである。ろうそくは偉大なのだ。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能)
2002/06/07