2002 年 4 月 10 日

<魚眼図>巨大システムの落とし穴

カテゴリー: 魚眼図 — Column @ 12:00 AM

みずほ銀行のコンピューターシステムがダウンをして、数百万件の手続きに影響が出ているという。結果論に聞こえてしまうかもしれないが、以前から大きなトラブルが起きる予感がしていた。四月一日の朝食時に、新聞の「みずほ銀行発足」の記事を読みながら、家族に「きっと大きなトラブルが起きるだろう」という話をしたほどである。この予感は、本人としてはかなり根拠のあるものだった。
みずほ銀行は、複数の大手銀行が統合してできた世界一の規模の銀行である。世界一ということは、その規模の銀行が世界で初めて生まれたということになる。統合にあたっては、当然コンピューターシステムの予行演習を綿密に行ったであろうが、これだけ規模が大きくなってしまうと、予行演習には本質的な限界がある。本番同様の規模の演習は、事前には絶対に実施できないということである。
百台の予行演習でうまく動いたときに、本番が千台であればうまく動くかもしれないが、十万台の本番でうまく動く保証はない。「百」と「十万」という「量の違い」は、「質の違い」となって、問題をまったく違うものにしてしまうかもしれないからである。
巨大システムに対して決して、トラブルが起きないように事前に万全な対策を取っておくことは残念ながら不可能である。
われわれは望むと望まざるとにかわらず、これからもさまざまな巨大システムと付き合っていかなければならない。金融だけでなく、電気、インターネット、ガス、電話など、生命線となる「ライフライン」はどれも巨大システムである。大事なのは、何か予期せぬトラブルが起きても、それが致命的にならないように備えをしておくことである。
(松原仁・公立はこだて未来大教授=人工知能)
2002/04/10

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