<魚眼図>IT時代の“採掘”
最近注目を集めている情報処理の分野に「データマイニング」がある。「マイニング」は、日本語に訳すと「採掘」のことだ。
ダイヤモンドとか金とか価値のある鉱物を山から発掘するように、大量のデータから価値のある知識をコンピューターの助けを借りて発掘するのがデータマイニングである。
たとえばコンビニの経営者にとって、商品の何と何が一緒に売れる傾向にあるかがわかれば、商売上、非常に役に立つだろう。しかし、コンビニでは商品の数も多く客の数も多いので、人間がそういう知識を自力で見つけるのは簡単ではない。
「紙おむつを買う人の多くは一緒にビールを買っていく」というのは信じがたいだろうが、実はこれはコンビニ業界ではよく知られた知識なのである。紙おむつがよく売れていてもビールを置いていないコンビニでは、経営者はこの知識によってビールを置いて売り上げを伸ばすことができる。こういう意外な知識は、コンピューターの助けがないと出てこない。
コンピューターは、あくまで人間の意思決定の助けをするだけで、データマイニングで得られた結果(たとえば「ビールを買うのは大人が多い」とか「弁当を買う人は一緒にお茶を買うことが多い」とか)を、知識として採用するかどうかを決めるのはあくまで人間である。
人間とコンピューターの適切な役割分担がデータマイニングの成功の理由である。データマイニングは小売業だけでなく、金融・保険・医療・流通・通信・製造業などで幅広く使われている。
筆者も子供のおむつの交換をすることがあるので、子供を寝かしつけたあとにビールを一杯という気持ちはわかるような気がする。
(松原仁・はこだて未来大教授=人工知能学)
2002/02/18